

ソリスト:萩原麻利

館林市出身。桐朋女子高等学校音楽科を経て、桐朋学園大学音楽学部を卒業。
東京丸の内・日本工業倶楽部にて、卒業演奏会に推薦出演。
1999年より渡欧。ヤマハ音楽財団奨学生、およびベルギー政府奨学生として、ブリュッセル王立音楽院修士課程を卒業。
これまでに、石島まり子氏、名倉淑子氏、オーギュスタン・デュメイ氏、イーゴリ・オイストラフ氏に師事。
国際芸術連盟主催音楽コンクール、日本クラシック音楽コンクール等にて優勝。
東京文化会館主催による、新進演奏家賞を受賞。
現在、ブリュッセル・フィルハーモニー管弦楽団、第二ヴァイオリン首席奏者として活躍。
ニューヨーク・ハイフェッツ記念コンサート、およびアメリカ国際連合本部にて、ベルギー王室による祝典演奏会に代表出演。
在ベルギー日本国大使館、およびベルギー国営放送局による室内楽演奏会等に、レギュラー出演している。
また、近隣国のオーケストラから招致され、世界各国への演奏旅行や、主要コンサート会場での音楽祭に出演。
演奏活動のほか、弦楽器の製作にも意欲的に取り組み、ベルギー国内有数の楽器製作アカデミーにて修学。
指揮者:髙橋裕之

福島県出身。福島大学大学院音楽教育専修(作曲・指揮)修了。在学中よりオペラ指制作に触れ、《乙和の椿》副指揮を契機に本格的に指揮の研鑽を積み始める。国内では下野竜也氏のマスタークラス、後に欧州でのマスタークラスを受講し研鑽を積む。2016年スタラ・ザゴラ州立歌劇場で《椿姫》を指揮し欧州デビュー。音楽祭、オペラ、新作初演、アマチュアオーケストラへの客演など各地で活動している。
~~~ 序曲「フィンガルの洞窟」 作品26 (メンデルスゾーン作曲) ~~~
メンデルスゾーンは、大変裕福な家庭に生まれ、幼時より行き届いた教育を受けることができました。音楽のみならず、絵画や文学にも優れた才能を持ち、作品の中にもその才能が発揮されています。この「フィンガルの洞窟」の他、「真夏の夜の夢」「スコットランド交響曲」「イタリア交響曲」等があり、またピアノ曲としては「無言歌集」などが代表的です。
フィンガルの洞窟は、スコットランドのスタファ島にある巨大な天然の洞窟です。メンデルスゾーンは、この洞窟を20才の時に観光で訪れ、その時の波のうねりや洞窟へのこだまによる不気味な音などが深く印象付けられたようです。翌年のイタリア旅行中のローマにて、その際の景観をもとに「フィンガルの洞窟」が作曲されました。
曲は、冒頭ファゴット、ヴィオラ、チェロによって静かな波のうねりを表すような第1主題が提示され、次々と景観の変わっていく様子が表されます。終盤のクラリネットによるメロディは、メンデルスゾーンならではの静かで美しい流れになっています。この序曲は、音楽が1枚の絵画のように描写されていると言われ、ワーグナーは「素晴らしい風景画家」と評したと言われています。
~~~ ヴァイオリン協奏曲 ホ短調 作品64 (メンデルスゾーン作曲) ~~~
このヴァイオリン協奏曲は、特に第1楽章の冒頭が有名で、あまりクラシック音楽を聴く機会のない方でも、一度はどこかで耳にしたことのあるメロディだと気づかれるのではないでしょうか。そのくらいポピュラーであり、メロディの美しさは哀愁と華やかさのバランスのとれた素晴らしい曲です。
急・緩・急の全3楽章から成る曲ですが、各楽章は途切れることなく続けて演奏されます。第1楽章から第2楽章へは、ファゴットの残音に乗って、フルート→ヴィオラ→第2ヴァイオリン→第1ヴァイオリンと1小節ずつ受け継がれた後、6/8拍子の優美で上品なメロディがヴァイオリンソロで現れます。第2楽章から第3楽章へは、14小節の序奏の後、活発でおどけた感じのソロが奏せられ、技術的にも高度な要素が求められます。終盤はヴァイオリンソロのトゥリルのカデンツァと思われる部分を奏した後、快速なテンポで盛り上がり終結します。
~~~ 交響曲第3番「英雄」 変ホ長調 作品55 (ベートーヴェン作曲) ~~~
ベートーヴェンは生涯に9曲の交響曲を作曲しています。第1番、第2番は、モーツァルトやハイドンの伝統的形式をもって作曲されていますが、この第3番は、その形式から飛躍し、ベートーヴェンの独創性や個性が出て、ベートーヴェン自身にとっても、音楽史においても、今までと違った交響曲となっています。
◆第1楽章 アレグロ・コン・ブリオ
2小節の主和音の後、チェロにより主題が奏せられる691小節よりなる膨大な楽章です。
◆第2楽章 アダージョ・アッサイ「葬送行進曲」
交響曲の中に葬送行進曲が使われたということは、この時が初めてです。厳粛な重みのある曲です。
◆第3楽章 スケルツォ
この曲が作曲されるまで、第3楽章にはメヌエットなどが置かれていました。しかしベートーヴェンは、軽快でおどけた3拍子のスケルツォを第3楽章に持ってきました。
◆第4楽章 アレグロ・モルト
変奏曲形式になっており、弦楽器群による非常に速い音階的音形による導入部、フーガ的な展開部と続き、最後は力強い和音打撃により終わります。
この曲は「英雄」という表題も有名ですが、当初はベートーヴェンがナポレオンに捧げるために作曲された曲でした。しかし、曲が完成した1804年1月から間もなくの同年5月に、ナポレオンが帝位に就いたというニュースを知ったベートーヴェンは、「なんだ、ナポレオンもただの野心家であり、権力が欲しかっただけの人間だったのか」と怒り、曲の表紙に書いてあったナポレオンへの献辞を破り捨て、代わりに「英雄」という表題を与えたと言われています。この表題の通り、この曲は人間の持つ偉大さ、英雄的な精神を音楽に表した長大な交響曲となっています。